2022/05/15 23:30
正直書きたくて書いているので皆様がどのくらいの僕のブログを見ていただけているかはわからないのですが、
先日【自宅シェフ】について少しお話しいたしました。
今回色々と私生活を蝕むくらい熟考した結果考えたのが、【クロックムッシュ】です。
料理内容やその作り方についてはLudensにてご紹介していますので、そちらを見ていただけたら面白いと思います。
こちらでは僕の料理の世界観について少し書いてみたいと思います。
世界観と言っても【僕の考え方】なのですが、僕はお菓子と料理の間に【共通しているポリシー】を持っています。
僕は料理にもお菓子にも【伝えたいこと】を乗せています。
それは "そのものの美味しさ" であったり "そのものの歴史" であったり。
その時によって伝えたいことは変わりますが基本的には【今までの食文化や意味】を伝えています。
一見他ではやっていないようなことをしているように見えるかもしれませんが、それも全て基本を技術のベースにあってのことでした。
僕は料理やお菓子を作る時に【楽しむ】をモットーにもしていますが、そもそも【料理人にとって楽しむ】とはどう言ったメカニズムなのかを多くの方は勘違いしているかもしれません。
私たち料理人やパティシエは若い時代の時間の多くを基本的な技術の習得のために【反復練習】で消費します。
この時期は誰もが【思ってたのと違う】と感じることが多く、飲食業の離職率が高いと言われるのは、主にこのタイミングの離職者数を切り取って見ているからです。
この時点では正直まだ楽しくありません。
しかしながら鈍感で鈍く今の今までその職業を長く続けてきた私たちはある時に【やらされていた雑務】から【一定のスッキリ感】を感じることがあります。
味の調整やお菓子の安定した焼き上がりなどがそれで、何度も何度も繰り返しやってきたことが体に染み付いて、いつのまにか完璧な習慣になっていった時、【その完璧さが気持ちいい】と感じることがあります。
そしてその完璧でないと(気持ち悪い)と思うようになるのです。
この頃から自分の前の作業台がいつでも異常に綺麗な状態に保たれ始めます。
この作業台や初歩的な技術に対しての完璧さというのは仕事の全てに伝染していき、その結果が私たちの言う【構成】だと考えています。
この食材を使うとこうなる。だからこうやって求めている味に近づける。
近年馬鹿の一つ覚えのように騒がれている【プログラミング的思考力】は現役の料理人やパティシエは当たり前に身につけていて、ITなのか味なのかの違いです。
まるでレゴのように求めている味に今を持っていく能力は、プログラミングのコードをどのくらい知っているか、エクセルの関数をどのくらい知っているかと同じく、
どのくらいの【素材の味を知っているか】で大きく変わってきます。
そこは一生の勉強ですが、応用の能力をロジカルに使うことができる料理人たちは【面白さ】をそこから先に見つけます。
そうなってやっと昔に厳しくしてくれた先輩方を【今思うと本当にありがたかった】と心から思えるようになるのです。
私たちの【楽しさ】は基本的な技術をパーフェクトに表現できる先にあります。
それはもう【高い技術力】と言うものをなんら付加価値として示さない感覚で、自分の表現したいことを表現したいままに作れる自分に対して【楽しさ】を覚えているんだと思います。
【あれやったらいいんじゃね?】とか【あれ作ったら面白いんじゃね?】的な単純な楽しさではなく、
ここでいうプロの楽しさは【あぁやってできたら気持ちいいだろうなぁー】という感覚値に近いです。
料理人もパティシエも本当に音楽家に似ていると思います。
楽譜をその通り弾くことは当然、ミスらないのも当然、
それができて初めてほんの少しだけアレンジを加えさらなる高みに音楽を昇華させる仕事は、僕の中で料理に通じるところが多いと思っています。
なんでもコスパで判断される時代になったと思います。
【売値<体験価値】の公式で判断される生活水準になったと思います。
それはそれで仕方ないのですが、食べてみる時に今書いたようなことが背景に隠れていることを想像したら、
あっという間に【売値=体験価値】という公式に変わると思います。
もちろん全ての料理人がそうであるわけではありません。
上の公式を作れる料理人でも全ての人間が評価されるわけではありません。
だからこそ同じ料理人としてミシュランの星を取った料理人はやはり尊敬されるのです。
僕はそんな料理人ではありません。
そんな料理人を目指している一人の弱者です。
ただお金をいただいて料理やお菓子を作っている以上、上のような考え方で、上のような世界を作っていると思っています。
そんな人間たちのお菓子や料理が PayID(旧BASE) で簡単に手に入るのは、それこそ【コスパがいい】と思います。
大きなことを書きましたが、皆さんも皆さんで【どんな料理人が上にような存在なのか】を見極める目が必要だと思います。
インスタグラムなどを見ていても【なんちゃって】の料理人なんて腐るほどいます。
もし長い時間をかけて見つけることができたら信頼してもいいと思います。アドバイスしてもいいと思います。
そんな料理人は決して驕りません。
きっと恐ろしいくらい柔軟に皆さんの意見を取り入れて、自分の芯は曲げることなく対応してくれると思います。
皆さんにまず先にポタージュとクロックムッシュをご紹介します。
この文章ではあまり伝わらないない内容も、結局食べてみたらわかるのが料理の面白いところです。
今日僕がこうやって皆様にお伝えしたのは、僕自身が【最高の音楽をこれからもっと作りたい】と心から考えているからです。
そんな戯言です。
ついででいいので、このオーケストラのソロを聴いてみてください。6分10秒からがマジで鳥肌立ちます。
こーゆーことです。
こーゆー世界観です。
なんならこの内容覚えとかなくてもいいってくらいです。