2023/03/19 15:28
突然、使っている卵の生産縮小が伝えられた。
昨今流行りの【鳥インフルエンザ】である。
実際に何が起こったのかはよくわからないが、【いいな、これ】と思えるような卵はこれから先手にできる機会がものすごく少なくなった。
こうやって小説調に書いていますが、心の中ではまぁまぁ苦しんでいます。
僕のカヌレは卵黄を比率的に高めに使い、それ自体の原材料の高騰がこれから先目に見えるなかで、インスタグラムでは多くの飲食店の【価格改定のお願い】を見てきている自分にもそれに似たような状況が起こるとは思っていませんでした。
これから先、他と同じように値上げをお願いするのか、他の卵で対応するのか、と悩んだ末に【もうコンスタントに続けるのはやめてしまおう】と決断しました。
作るまでに本当にいろいろな苦労があったし、個人的に作り方や味、食感においてもとても思い出深いお菓子です。
他の卵に切り替えて持続するという手段も一度は考えましたが、これから先そんな小規模な臨機応変さではこれ以上の変化は起こせないと感じました。
僕が1番嫌な事は(自分が思うダサいことをする)というです。
もともと他の店のインスタグラムを見ていて、単純な値上げのお願いをしているのがとても嫌いでした。
理由の1つに、値上げはそんなにかしこまってお願いしなくても良いのではないか、
と言う気持ちもありましたがもう一つの理由は、そこまで頭を下げないといけないほど自分には武器がないことを自ら晒してしまっているような気がしているからです。
僕たち個人経営の店はとても弱いです。
今回の卵の問題も取引先様の立場もありますので詳細や取引先様の情報はお伝えできませんが、鶏舎の一部が封鎖された時点での卵の取引量からの再配分として僕はとても弱い立場です。それでも少なくはなってもいただけはしています。
そんなことはやる前からわかっていて、それでも良い卵だから使おうと思って始めたので、
このような事態になった時に【それでもぉー】と言いながらダラダラと尾を引くのはカッコ悪いと思えています。
繰り返しますが僕は本当に弱いです。
取引的にも売上的にも。
それは今まで一人でやってきたこともあるし、好きなことを突き詰めてきたことが原因でもあります。
しかしながら強い弱いに関わらず、誰しもが【立ち位置を活かした立ち回り】を変化がある都度おこしていかないといけない気がします。
僕にとってはそれが今でした。
これから先店頭においてもオンラインにおいてもカヌレのご紹介が本当に少なくなります。
店頭では毎日焼けなくなるし、オンラインでも個数に今以上の制限がかかります。
それでも僕はやっぱり【今までで一番美味しかった】という予想以上のご感想をいただけることが本当に嬉しかったので、無くなりはしません。
ポジティブに言い換えると【よりレアに】なるのです。
失うだけが僕じゃ無い。失うだけじゃ顔向けできない。
たかがカヌレですが、されどカヌレでした。
この一件を機に店舗も大きくやり方を変えます。
カヌレがなくなって僕がご紹介できる【面白さ】のためには、今までの営業スタイルでは生産が追いつかないからです。
マフィンもやります。フィナンシェもやります。
もう少しだけお待ちください。
また当店では【シン・カヌレ】を多くに人に作っていただけるように講習会を開催しています。
正しい食感の真カヌレだし、皆様にとっての概念的な新カヌレです。
僕のような弱い立場では多く作れないので、他の方に多く作っていただけるようにレッスンなんて柔らかく甘いものではなく、【引き継ぎ】という技術の譲渡を目的に行なっています。
カヌレってなんか可愛いよね。とかいう甘ったるい気持ちの作り込みを滅殺できるような詳しすぎて気が狂うほどの熱量の講習会です。
ただし、素晴らしさは保証します。
考え方や思考法がプロのそれで、そに流れを一般に落とし込むようなことはせずにそのままお伝えするなんともガチな会ですが、有志をお誘いの上ご参加いただけると全国の多くの方々に喜んでいただけると思います。
講習会はこちらより受け付けているので気になったら読んでみて。
カヌレの今後に関してはこちらから詳しく