2024/08/25 22:34
どうこちらが頭をひねれば、面白いものを作れるのか。
料理人としてお菓子を作っていく中で、今も昔も変わっていないのはこの気持ちです。
確かにお菓子の材料は、料理の素材と違って日毎に大きな変化はないので、化学ちっくになるし、作業になる。
だけど、多分これは自分が自分の仕事に飽きないように、自分に枷た縛りなんだと思います。
ChatGPTも新しいサービスで【searchGPT】を発表し、AIが参入してそこそこ当たり前になった現代。
正直エアコンのAIは何をしているんだと思ってしまうこともありますが、これから先、多くの情報が僕たちは当たり前に手にできると思います。それこそ息をするように。瞬きをする間に。
たくさんの情報が今この瞬間も生まれ、そう遠くない未来にはファクトチェックもかなりの精度をあげる近未来。
どこの素材、どこの農家、どこの流通経路なんて、料理人やパティシエが事実介在していない取引においては、気になったらすぐに知れて、
もしかすると気にならなくても目の前に情報が現れて、
そうしたデータとして始まりと終わりが明確にある情報は、これから先それ以上でもそれ以下でもなくなると思います。
いま多くのお菓子屋さんは【どこどこの果物使用!!】とか【こだわった〇〇素材】という、流通経路に沿った話を付加価値のように私たち食べ手にアピールしてます。
8月からお世話になっている青森産のレモンを使ったレモンケーキの箱は、その取引が嬉しすぎるあまり、近いような内容を伝えちゃってはいますが、基本的に僕はどんな材料でも、どこの産地でも、目の前にある素材には真剣に向き合って、自分の楽しみのために頑張ります。
激安スーパーでも例外ではありません。
多分これは作った人、素材になった食材への【いただきます】にも似た敬意に近いです。
これは僕の感想でしかありませんが、お菓子作りを生業にしている人にはもっと【こんな思いで】【こんな視点で】と言った、その人の背景が見える発信をして欲しいと思っています。
よくお客様に聞かれます。
美味しいと思うお菓子はどこですか?
あまりはっきりとは答えていませんが、ぶっちゃけどこも美味しいです。そんなに目立った差はありません。
でも食べる前に【楽しくはないです】
だってそれ以上でもそれ以下でもない情報をアピールポイントにしてお菓子の魅力を伝えようと努力しているから。
僕が聞きたいのはいつも【あなたはこのお菓子のどこにいるんだ?】という内容です。
それがわかればとても面白いし勉強になる。もし、それが口に合わなくても、そんなに大したことじゃないです。
これからの時代は、安易な情報は軽々と手に入ります。
情報の密度が決まっている内容は【価値】にはなり得ません。
しかし作り手がどのような視点で、どのようなアプローチで、どのようなモチベーションでそれを作るにあたったのかは、始まりはあるけれども終わりはない深い深ーい情報と感情の井戸の様ななもの。
作った人間を知る。作った人間の思いを感じれる。
オンラインでもその様な肌感がこれからは最も魅力の一つになっていくと思います。
今!!今それを伝えていかないと、僕はみなさまからの信用は作れないと考えています。
裏表、全てを知って、そいつが作った全てを食べて、一つの認知できる味になる。
泥臭いし、AIがディープラーニングで学習したくらいでは真似できずに、いつまでもマニュアルな方法だけど、
そんな人間臭い、排気ガスブイブイ言わせた、燃費の悪いお菓子を作る人が僕は好きです。
サイエンティックで、ロジカルで、メカニカルな飲食店が世間からもてはやされるのは、今がまだ黎明期だからなんだと思っています。
人の心は、きっと近い将来、昭和的な【繋がりの人間性】に帰結します。
先にそうなって待ってます。