焼き菓子 Compath

2025/09/03 16:13





実用性ではないところにロマンがある。


世の中には、高級時計で水深4000mの水圧にも耐える時計があったり、福岡には、時速300kmのボールを投げることができるピッチングマシンがあります。

これらのものには、前者の時計に関しては、水圧というカテゴリーで一番になりたいという思いや、ピッチングマシンに関しては、そもそも火力発電の会社がその押し出す力を利用して作ったピッチングマシンなど、実用性はまるでないです。

水深4000mのところに潜ると人間は死んでしまうし、300kmの球は打つというより、バットが折れます。

でもなぜこれらのものは存在し、そこに対して作り上げた人が存在し、それらに熱を帯びるのか。

それはそもそも、その商品が存在すること自体がロマンであり、ロマンは実用性を度外視しても存在意義があるからです。


私は自分のお菓子に実用性を求めていません。

以前より申し上げていますが、発想の箱はダサいし、地はいつまで経っても綺麗になれません。

しかしながら、フィナンシェサンドやビクトリアに代表されるように、これとこれを組み合わせたらどうなるのだろう、もっと美味しくなるのではないか。

そんな純粋な好奇心を自分が積み上げてきた技術で成り立たせるロマンのお菓子だと思っています。

ロマンがないものは面白くはなりません。


そんなひねくれた私の目線の中には、世の中の映えるお菓子や綺麗な箱に入ったクッキーなど、それはそれで美味しいのかもしれないけれども、遊び心もロマンもないなというふうに映ってしまいます。


いつも僕のお菓子を召し上がってくださる方におかれましては、僕のそんなロマンという形の見えない、ただ意識として共有するようなお菓子を召し上がっていただいているわけですが、これからも、なぜこいつはこんなお菓子を作るのか、なぜこのように考えたのかという、僕のアホみたいな背景も含めて、口の中で頬張っていただければと思います。


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