焼き菓子 Compath

2026/01/31 17:07


いつもオンラインショップのブログでは、できるだけ普遍的で、いつ読み返しても違和感のない内容を書くようにしてきました。

2026年2月号と名付けたとしても、数年後に読んだときに「その通りだな」と思ってもらえるような文章を意識してきたからです。


ただ、今回は少しだけ違います。

今回は「未来から振り返ったときに、ああ、そんな時代もあったね」と思われるような、いまこの瞬間ならではの話を書いてみたいと思います。


2026年1月、突如として衆議院の解散があり、2月には全国的な総選挙、大阪では市長選挙、府知事選挙も重なっています。

大阪に住んでいる私にとっては、どちらも身近な出来事ですが、オンラインショップをご覧いただいている多くの方は、東京や関東圏の方が多く、衆議院選挙の話題だけが関係する方も多いかもしれません。


今回取り上げたいのは、その衆議院選挙で争点になっている「食料品に対する消費税の限定的な廃止」についてです。


この話題が出てから、YouTubeや各種メディアでは「これが実行されると飲食店が窮地に陥る」という意見を、専門家や発信者の方が数多く発信しています。

理由として挙げられているのは、スーパーで購入する食料品は税率0%になる一方、飲食店で食べる料理には10%の消費税がかかり続ける、という点です。


この理屈を聞くと、多くの方が「じゃあ、あなたのオンラインショップで売っているお菓子も0%になるんですよね」と思われるかもしれません。

おそらく制度上は、その通りになるでしょう。


ただ、ここで一度立ち止まって考えたいのです。

その考え方は、少しだけ「お客様をなめすぎている」のではないか、という感覚に私はなります。


まずは、実際の数字で整理してみます。

現在、税込1,000円で販売されている食料品があります。

これが消費税0%になると、価格はおよそ926円になります。

つまり、約74円安くなる計算です。


1万円分の食料品を購入した場合は、約740円安くなります。

今の感覚で言えば、スーパーのお惣菜が2パックほど買える金額です。

これは決して小さな金額ではありません。


一方で、飲食店で1万円の食事をした場合、10%の消費税がかかり、支払額は1万1,000円になります。

同じ1万円を基準にすると、スーパーでの買い物との差は約1,740円です。

この差があるから、外食を控えて家で食べる人が増える、というのが多くの識者の主張です。


感覚として理解できないわけではありません。

数字の計算も理屈も、私自身よく分かっています。


ただ、それでもなお、私は考えたいのです。

飲食店という存在は、本当に「税率の差」で選ばれているのでしょうか。


そもそも今までも、食料品は8%、飲食店は10%という差がありました。

その2%の違いがあったから、飲食店に行く、行かないを決めていたのでしょうか。

もしそうだとしたら、飲食店をやっている立場としては、それは失敗だと思っています。


少し高いかもしれないけれど、美味しいものを食べたい。

家ではない場所で、特別な時間を過ごしたい。

その根本的な欲求があって、飲食店は選ばれてきたのではないでしょうか。


それは私が作る料理や、お菓子にも同じことが言えると思っています。

単純に安いから、税金がかからないから、という理由だけで選ばれているのだとしたら、それはとても寂しい話です。


今回の議論の根本にある問題は、数字と計算だけで人の行動や心理を説明しようとしている点にあると感じています。

人が「食べたい」と思う気持ちや、「ここで過ごしたい」と思う感情は、そんなに単純ではありません。

数式や税率だけで測れるものではないはずです。


仮に、今回の制度変更が飲食店にとって厳しい状況を生むとしても、それを乗り越えていくのが、私たち飲食店の宿命だと思っています。

過去を振り返れば、コロナ禍もありましたし、リーマンショックもありました。

それでも飲食店はなくならず、日本における飲食業の存在感は今も大きいままです。


それはきっと、安いからではなく、人のニーズを満たしてきたからだと思っています。

人に楽しんでもらい、記憶に残る時間を提供してきたからです。


2026年2月。

この文章を数年後に読み返したとき、「ああ、こんな議論をしていた時代もあったね」と思ってもらえたら嬉しいです。

そして、その時にも、飲食店やお菓子が、誰かの楽しみであり続けていることを願っています。


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