2023/03/26 22:35
軽い意味となって浸透しているが【こだわり】について
こだわり 僕が一番苦手な言葉です。
普段こだわっていない人が【ここは!】と意気込んで知識や品質などのリソースを注ぎ込む行為のように思えて仕方ないです。
一般の人が【今夜は!!】とか【バレンタインデーだから!】とかでこだわるのは本当にいいことだと思います。
でも僕たちは自分で言うのもアレですがプロです。一応。
こだわらないと言う選択肢はそもそもないし、それをアピールすることほど付加価値として薄いものはない。
そんな捻くれた観点からカヌレの説明をするのであれば、やめた理由は【ただのわがまま】
皆様のニーズはガン無視決めて、単純に卵が変わるのも嫌だし、そこに合わせて惰性的にレシピを変えるのもダサい。
それだけです。
普段僕の口から【これにこだわりが~】とかは絶対に言いませんが、こんな時にきっとそのマインドが行動に滲み出る。
そう思っています。
こだわりを語っている時点でそれは皆様へのパフォーマンスです。大してこだわってもいないです。みなさん注意してください。
ニュートンの運動の第三法則こそ飲食店は忘れてはいけない。
ニュートンの生み出した法則がひとつ。【作用反作用の法則】
映画インターステラーにて主人公が口にしたこともあり、記憶に残っている人も多いかと思いますが、
簡単に言うと 【前に進むには何かを後ろに置いていかなければいけない。】 ということ。
それは物理学の世界でももちろんそうですが飲食店にも大きく当てはめられると思っていて、TOYOTAのような一つの種類の生産からそのバリエーションを派生させ世界に飛び立つやり方もあれば、既存のスタイルが崩壊しつつある場合はさっさと壊して次に行くスタイルもあると思います。
新陳代謝の激しい飲食業界はきっと後者で、原材料価格が上がったりした時にSNSで【もうしわけー】程度の発言で値上げをちびちびとするよりも新しい武器をチャンスとばかりに作って行った方が気が前へ向いていくと思っています。
もちろんこれは極論で、すべての物事に通じるわけではないにはわかっていますが、飲食業界は多くの人が【美味しいものを作れる!!】と言う自負から参入していることがほとんど。
その多くは基本的に【待つ姿勢】で、きっとそれは【うまいものには人が集まる】という概念からきているもの。
うまいものは料理人として息をするくらい当たり前に意識することですが、それがあるからと自ら動かないのは愚の骨頂。
今から約600年前に生きていたニュートンでさえ【前に進むには何かを後ろに置いていかなければいけない】ことを理解していたのですから、今を生きる僕は【せっかく手にしたカヌレのノウハウ】も喜んで今ここに置き、次に進む準備をしています。
卵がなくなった。カヌレができなくなった。それ自体は確かに悲しいことですが、これを機に自分がどれだけカヌレに依存していたかもわかった。美味しいものが作れてそれがチヤホヤさせるなんて言うのは飲食の世界ではそう長くない。
だからこそ【ピンチはチャンス】なんて安っぽくて使い古された気持ち以上に我に向き合って次を作っていかなければいけないのだと思っています。
当分カヌレは作れなくなります。
当分カヌレは食べれなくなります。
それでも忘れないでいて欲しいのは【僕のカヌレはマジものだった】ということ。
覚えておいて復活したら帰ってきてね。と言うつもりもない。
短い期間でしたが【ちゃんと】カヌレを作ることによって多くのカヌレを売っているお店へのアンチテーゼができて性悪な店主は満足しています。
マフィンもそう。カヌレもそう。
なんちゃってなお菓子で人の舌をバカにさせるのは発泡酒と同じやり方。
発泡酒と違うところは【知らないでやっているところ】
安いお酒が流行れば、その分安い給料で働く人が多くなる。
ダサいお菓子で喜ぶ人が多くなれば、その分文化は落ちていく。
どうせ作るならそこに考えがなきゃいけない。
今回は多くの方々を敵に回すような過激な発言が目立ちましたが、そんな人間なのでご愛嬌。
作れるようになれてよかった。自分が正解を知れてよかった。
そう思えるくらいやりこんでよかった。
これをみている皆様がどんな気持ちになっているかはわかりませんが、僕は大変満足しています。